2007年スイス旅行記その4~ピラトゥスからグリンデルヴァルトへ

テラスに戻り、お昼代わりのキャロットケーキとコーヒーを頼む。人参の千切りが所々生煮えに思えるのは気のせいか?ますます雲が多くなったので、あきらめて登山電車で降りることにした。これこそ、世界一の急勾配で有名な「ピラトゥス登山鉄道」である。傾斜に合わせて、車体自体も平行四辺形になっている。

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ロープウェー側ほど急ではないが、それでもビックリするような勾配の斜面をガチャガチャ車体を震わせながら降りていく。誰がこんなところに鉄道を通そうと考えたのか、世の中には物好きがいるものだ。それにわざわざ日本から乗りに来る私も、かなり物好きなのだけど。

麓の駅も、またまたすごい。車体が斜めだから当たり前だが、ホームが階段状になっていて、遠くから見ると、まるで車両が駅舎の屋根に突き刺さっているようである。

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登山鉄道の駅のすぐ隣りに国鉄の駅があり、ここからまた電車に乗る。無人駅だが、パスがあるので切符の心配はいらない。一駅乗って、隣りのアルプナハ・ドルフ駅で急行に乗り換える。思いのほか混んでいて、座席を探すのに苦労していると、車掌さんが○号車は空いてるから、と親切に教えてくれた。なるほど、そっちの車両はガラガラである。たまたま団体の所に乗り込んでしまったのかもしれない。それにしても、今日も暑い。窓を全開にする。

列車はだんだん狭くなる緑の谷間を、ゆっくりと高度を上げながら進んでいく。ガイドブックもネットの情報も、ぜひ乗るべき景勝ルートとして勧めてあるが、最初はそれほど優れた景色とは思えなかった。緑の谷間に点在する集落の佇まいは美しいが、チューリヒとルツェルンの間だってそこそこキレイだったし、ピラトゥスの北斜面もワイルドで良かった。しかし、それは早合点だった。

峠を越えると、急な下りになると同時に突然右側の視界が開け、険峻な山塊と巨大なU字谷の壁面が迫ってくる。そのボリューム、その迫力、おみそれしました~!と平伏したいほど。列車自体もとんでもない崖を這うように走っていて、なるほど鉄道好きにはたまらないはずである。

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谷底の町マイリンゲンで列車は進行方向を変える。同じ車両の人が全部降りて、またもや一両貸切状態である。一等のパスにした甲斐があったというものだ。さっさと景色の良さそうな席に移る。

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しばらくブリエンツ湖の北岸を走るが、この湖の佇まいも女性的で美しい。自転車で一周したら楽しいだろう。湖の北岸を端から端まで走って、終点インターラーケン・オスト駅に到着。グリンデルヴァルト行きのベルナー・オーバーランド鉄道に乗り換える。

前半分がラウターブルンネン行き、後ろがグリンデルヴァルト行きなので、ちゃんと確かめてから乗り込む。二等はかなり混んでいるようだが、一等はまたしてもひとりだけ。ここに来てもまだかなり暑いが、天気はすっかり良くなっている。明日から三日間はハイキングの予定だから、ぜひ晴れて欲しいのだ。

列車は二駅進んで前半分を切り離し、いよいよという感じで谷間に分け入っていく。時々白い高峰が見え隠れするが、なんという山かはわからない。川沿いはひどく荒れて、倒木がそこかしこにあったり道路の端が崩れたりしている。たしか昨年、ヘリで宿泊客を運び出すほどの水害に見舞われたと聞いたから、おそらくその爪痕なのだろう。
谷川を抜けると緩斜面が続く広い谷が広がり、斜面の終わる所からナイフのようにアイガーがそそり立つ。当座の目的地、グリンデルヴァルトに到着である。

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ホテルは、駅から急斜面を10分ほど登った「ゾンネンベルク」。オーナーは恰幅のいい中年女性だった。駅に送った荷物を持ってきてもらえないかと聞くと、ものすごい剣幕でそんな約束じゃないとか、今忙しいから夜遅くじゃないと対応できないとかまくしたてられ、驚いてしまった。それほど非常識なことを頼んだのか、それとも単に彼女の虫の居所が悪かったのか、いまだにナゾである。

部屋は離れのシャレー風木造二階建ての一階だった。アイガー・ビューを頼んだが、アイガー側に窓はない。猫の額ほどのベランダに出て、やっとアイガーが見えた。文句を言えば言えたのかもしれないが、さっきの剣幕を思い出すと議論するのも面倒なので気にしないことにする。

夕食まで多少時間があったので、村の中を歩いてみる。まずは、ホテルの前の坂をずっと上って行く。人ひとりが通れるだけの幅しかなく、標識がなければ行き止まりかもとためらうような道である。途中で日本人の女性とすれ違う。上のユースホステルに泊まっているとのこと。お互いに写真を撮りあって分かれる。

小道を登りつめたところが、テラッセンヴェーグという通り。ドイツ語はおぼつかないが、語感から高台の道といった感じか。駅前通とほぼ平行に、等高線に沿って走っている。駅のある辺りからはかなり登ったので、アイガーの全体が見渡せる。

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気温は20度ちょい位、日差しが強く風もあるものの、散歩するのに絶好の天気だ。通り沿いにはさっきの女性が泊まっていると言ったユースホステルもあった。景色のいいところだが、毎日ここまで登ることを考えると、私向きではないようだ(駅からバスの便があるかもしれないが)。

現在地を確かめようとして、部屋に地図を忘れてきたことに気付く。やっぱりちょっと疲れてるのかな?無理もない、ふだんコアラ生活(食べて、寝る)をしているのが、いきなり働き蜂になったようなスケジュールなのだから。おおまかな地図は頭に入っているから、道に迷ったら駅に向かえばいい。標識はこれでもか、というくらい親切にあちこちにある。

一時間くらいぶらぶらしてから宿に戻ると、渋ったわりにはちゃんと荷物が届けられていた。さすが、スイス人は頼んだことをきちんとやってくれる。

夜7時から夕食。レストランは宿泊客専用で、アイガー側がテラスになった見晴らしのいい造りである。泊り客は席がほとんど埋まるほどいて、中高年のグループや家族連れが多い。給仕はアナベッラというかわいい女の子が全部やって、忙しそうだが愛想はよかった。

グラスでスイスワインを頼む。若々しくフルーティで飲みやすい。料理はサラダのビュッフェ、野菜スープ、メインは白身魚のムニエル。デザートも付いた。

食事を終えるとちょうど日暮れで、テラスからアイガーが黒々と見える。部屋に戻り、お風呂に入って二日分の洗濯。降り出した雨の音を聞きながら、倒れこむように就寝。

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