2007年スイス旅行記その7~シルトホルン

今朝も早く目が覚める。まだ夜明けから間もないようだが、小鳥の鳴き声がうるさいほどだ。ベランダに出ると、ちょうどチュッケンに朝日が当たっていた。昨日あの山の下を巻くように歩いたんだよね。

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今日の目的地はシルトホルン。AM8:35発の電車でツヴァイリュチーネンに行き、乗り換えてラウターブルンネンに向かう。ラウターブルンネンはU字谷の底にある街で、両側は急峻な崖である。その崖を、ロープウェイで一気に上がる。もともとは急斜面に沿ってケーブルカーがあったが、「斜面が動く」ので補修が大変なため、ロープウェイに切り替えたらしい。そんな所を何十年もケーブルカーを走らせていたとは、スゴイ話だ~。ロープウェイからは、その名残の軌道が見える。

終点がグリュッチュアルプ。ロープウェイは満員で、乗客のほとんどがここでミューレンまでの鉄道に乗り換える。10人ほどが、電車に乗らずにハイキングを始める。私もその一人。ここからはU字谷の対岸上にあるウェンゲンの街や、メンリッヒェンの山塊が目の前である。

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鉄道に沿って、おおむね平坦な道をミューレンに向かう。天気が良く、左手前方にベルナーオーバーランド三山が(逆光だけど)しっかり並んでいるのが見える。気温はさほどでもないが、相変わらず陽射しは痛いほどに強い。

途中、何度か小川を渡る。これらの川は、わずか数百メートル先で、U字谷のてっぺんから滝になって落ちるのだ。
ミューレンまでは、ゆっくり歩いて1時間ちょっと。景色が単調で、最後のほうは多少飽きる。

ミューレンはこじんまりしたリゾートで、電気自動車しか走れないため、とても静かな集落である。浮世を離れた、という形容詞がぴったりな感じだ。街を通り抜けて、シルトホルンへのロープウェイ乗り場へ向かう。

乗り場は、またしてもどこから湧いてきたのか、と思うくらい多国籍の観光客で溢れている。ロープウェイも、つかまる所がないほどぎゅうぎゅう詰め。そして、予想通りどこからともなく香辛料の強烈な香りが~!忍耐、忍耐。

ビルクという展望台で、ロープウェイを乗り換える。大きなホールやレストランのような施設があるが、今は使われていないようだ。ダッシュで展望フロアに出ると、誰もいないのが嘘のようないい眺めである。三山の写真をパチリ。しかし、ロープウェイが30分に一本のため、乗り継ぎに遅れないよう山頂行き乗り場に駆け込む。
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ビルクとシルトホルンの間は目も眩むような谷間で、高所恐怖症じゃなくても背筋が寒くなる。実際、標高も2000メートルを軽く超え、気温もぐっと下がっている。眼下に小さな池が見えるが、ほとんど凍っていた。

シルトホルン山頂到着。標高2970メートル。昨日のユングフラウヨッホの高さには及ばないが、周りに視界を遮る山がないため、360度のパノラマを楽しむことができる。三山をはじめ、ベルナーアルプスの高峰にぐるりと取り巻かれて、仙人にでもなった気分だ。ロープウェイが満杯だったわりには、展望台はガラガラ。寒いので、みな一瞬で屋内に引っ込んでしまうようだ。

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ここの目玉は、360度回転レストラン。昼時であるが、客の入りは六割という感じで、窓側に座れた。1時間で一周するが、お客はそれほど長居はしないのか、常に三山側だけが混んでいる。フロアはドーナツ型で、中心側半分の床は固定してあり、回転するのは外側半分だけ。しかも窓も動かないので、窓の下に描かれた案内図を見れば、自分が眺めている山の名前がわかる仕掛けである。

一番安い(でも高い)「本日のセットメニュー」を食べていると、前に中年のアメリカ人夫婦が座り、お茶を頼んだ。彼等は飲み終えた後も、三山が正面に来るまではと粘っていたが、ウェイターが来て、「窓側は、食事のお客さんしか座れないんですよ」というようなことを言った。夫婦は「あっそう、もう出るから」とウェイターを追い返したが、「なによケチねえ、混んでるわけじゃないんだからいいと思わない?」と私の賛同を求めてから去って行った。同意しておいたが、そんなこともあろうかとこっちは高い食事を注文したのよ、おばちゃん。

たっぷり景色を堪能したので下山する。
ラウターブルンネンとミューレンの間は、私が来たルートのほかに、バスとロープウェイを使うルートがある。私の持っていた切符は同じルートの単純往復のものだったが、差額で乗れないかためしにロープウェイの駅で聞いてみると、窓口の若い女性は「うーん、ホントは電車しか使えないけど、下に行きたいのよね?いいわよ、ロープウェイの切符出してあげるわ」とタダで、しかも愛想良く変更してくれた。気が利く若い女性というのは、ほんとうに素敵なものだ。

ミューレンから、途中一度ロープウェイを乗り換えて、U字谷の底に降りる。下界はかなり暑い。ここからラウターブルンネンまで谷底を歩く。ちなみに、駅前のハイキング標識には「シルトホルンまで7時間」とあった!

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狭い空の上を、パラグライダーが飛んでいる。気持ちいいだろうな。谷底の道は、両側の崖の切り立ちぐあいが大迫力。日本なら、石が落ちたら誰が責任取るんだとか何とかで、通行止め間違いなしだろう。川沿いの林の横をしばらく歩いてから、車道に出る。納屋の軒先にずらりと大小のカウベルを並べた農家がある。よく見ると、牛につけてあるカウベルも、よくある形のほかに、四角形や教会の鐘の形と様々である。

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ラウターブルンネンを前に、雨が降り始める。毎日、雨が降リ出す時間が早くなっている。雷が鳴って強く降リ出したので、一目散に駅を目指す。

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ラウターブルンネンの街外れに、崖の上から一直線に落下するシュタウプバッハの滝がある。今朝、上流で渡った川だ。街は中程度の大きさで、一通りの商店が揃い、ホテルもそこそこあるようだ。裏通りには切妻の形が可愛らしい伝統的な民家も残っている。グリンデルヴァルトほど風光明媚ではないが、交通も便利で滞在の拠点にするにはいいところかもしれない。

谷川に架かる歩行者専用の吊橋を渡って駅に向かったが、この谷川に隠れるように、巨大な駐車場の建物があった。屋根の高さが地表面のため、鉄道や道路からはまったく視界に入らず、利便性と景観保護の両方を追求したスイス人の合理性が垣間見えるようだ。

ツヴァイリュチーネンで電車を乗り換えて、グリンデルヴァルトに戻る。最後の夜の食事は、前菜がキッシュ、サラダにソーセージのヌードル添え。デザートにパンナコッタだった。給仕が違う女の子で(日曜だからアナベッラは休みなのかな?)ちょっとぎこちないが、はにかんだような笑顔が可愛い。部屋に戻り、荷物整理と明日の準備。雨はまだ降り続いている。明日はマッターホルンとご対面の予定だけど、見えるのかなぁ?

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