風と共に去りぬ を読む


風と共に去りぬ 第1巻 (新潮文庫)
新潮社
2015-03-28
マーガレット ミッチェル


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 本作は言わずと知れた、マーガレット・ミッチェルの不朽の名作。映画の影響で「スカした男女のメロドラマ」と思っていたが、それは作品の一部に過ぎず、中心でどっしりと主題をなすのは「南北戦争」であった。

 アメリカ南北戦争は、教科書的な知識によれば、奴隷制度の廃止をめぐって北部と南部が争い、北部が勝って奴隷解放の道が拓かれた…ということになっているが、どうもそんな人権重視のきれいごとではなく、ヨーロッパ情勢も絡んだアメリカの経済基盤をめぐる闘争であったらしい。
 奴隷である黒人自体、移動の自由や職業選択の自由がないといったハンデを背負っていたものの、ただ虐げられるだけの弱い人々ではなく、それぞれの居場所でしたたかに生きていたこともわかる(過労死させられる現代日本のサラリーマンは、当時の奴隷並みかそれ以下ともいえる)。

 映画でもスカーレットは淑女らしからぬ蓮っ葉ぶりを発揮していたが、原作の彼女の描写はあまりに赤裸々で情け容赦ない。この時代に、女性が女性をこう書いて、それが世に受け入れられたことにけっこうショックを感じる。
  先日の新聞に、教養を軽んじる世の中になって、ものを知らないことを恥じない人が増えた、と書いてあったが、スカーレットもその一人。戦争という「なんでもあり」の世の中は、アシュリ達の伝統や教養あるふるまいよりも、彼女の野性的な逞しさが必要とされるが、それも南部が落ち着きを取り戻すと同時に終わりを告げる。
 スカーレットの不幸は自業自得だが、ミッチェルの主題はスカーレットの人生から教訓を得ることではない。では彼女の書きたかったものは何か?
 それは「赭土(あかつち)」に形容される、ジョージアの大自然と、そこに生きた強情でたくましい南部の人々に違いない。私たちは、ジョージアとスカーレットが握りしめた赭土を、ともに記憶するのだ。 
 
 本作には、戦争の高揚と欺瞞、戦場と敗者の悲惨さが余すところなく書かれている。戦況の希望的観測、日々窮乏していく生活などの銃後の姿はどこかの敗戦国とまったく同じで、戦後すぐにこの本を読んだ日本人には、よりいっそう心に響いたに違いない。




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