ご近所探索シリーズ 東横線編



 今週も、電車で近郊散策。


 夏の盛り、新聞に折り込まれていたガリ版刷りのような地域ペーパーを見ていたら、「東横線廃線跡を歩く」という記事が載っていた。

 東横線に「廃線跡」なんてあるわけ?
 横浜と渋谷を結ぶ、かなり大都会な路線よ、ここ。

 記事によれば、2004年に東横線が地下化された後、地上部を遊歩道として整備したらしい。
 先を読んでいくと、なんと「トンネルを歩ける」ですと!?

 これは行かねばなるまい、というわけで、寒くなるのを待って現地に繰り出した。


 出発地点は東横線の東白楽(はくらく)駅。
 家の最寄駅からは10分ほど。
 白楽はもともと“ばくろう(伯楽、馬喰)”で、この辺りに馬の仲買人や馬医者がいたからついた地名らしい。
 東海道に近いから、運搬用の牛馬の需要があったのかな。

 駅を出て東横線の高架横を歩いていく。
 高架の線路はだんだん高度を下げてきて、やがてトンネルに入る。トンネルの上は階段で上がれるようになっており、上が遊歩道になっている。
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左横浜方面、右東白楽駅。奥に見える線路の架線が手前に向かって低くなり階段のところで地下へと消えていく。

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トンネルの上の遊歩道


 遊歩道は両側に花壇があり、その名も「東横フラワー緑道」。
 昭和チックなダサダサネーム・・・。
 特にオシャレな道でもないから、まあいいか。

 遊歩道は最初こそ高架であるが、すぐに地上に降りてくる。

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 線路であった名残として、レールが埋めてある。
 地下を東横線が走っているので、所々に換気塔もある。
 このあたり、地上走行だったのか高架を撤去したかは不明。

 時期が時期だけに、フラワーはほとんどない。
 緑はもじゃもじゃだけど・・・。

 10分ほど歩き、反町(たんまち)駅が見えてきたところでまた高架になり、国道1号線を跨ぐ。
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 このつくりを見ると、東白楽からずっと高架でつながっていたのかな。
 反町の名称由来は諸説あり、面倒なので割愛。

 
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反町駅舎。何を狙っているのか不明なデザイン。


 反町駅を過ぎると、見えてきたよ~。
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 高島山トンネル。手前にゲートがあり、深夜は通れない。治安が悪いのか?

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 このトンネルは、大正15年開通で、古い写真によると最初から複線。
 中はキレイに補修してあり、白い壁に照明完備で歩きやすい。 

 トンネルの出口は、急坂。
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 ここはもう横浜駅すぐそばの繁華街なので、現在下り坂の部分は高架となって横浜駅まで続いていたのだろう。

 ところで上のトンネル出口の写真、左上に白い鉄筋コンクリートの「足」が見えるでしょ。
 これが何かというと・・・。
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 何と、お寺。
 隣りのビルから渡り廊下が繋がっているが(前にブラタモリでやっていた)、それは裏口で、台地を向いた方にちゃんとした入口があるらしい。


 トンネルからの坂を下り切ったところが、「旧東海道」。
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 参勤交代のお殿様はもちろん、家康も駿府に行くとき通ったんだよね~。

 道沿いはマンションやビルが多いが、旧街道の名残を留める神社仏閣や料亭も点在している。

 そのうちの一軒、田中家。
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 この料亭が何かというと・・・。
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 歌川広重作、東海道五十三次「神奈川(宿)臺乃景(だいのけい)」に描かれているうちの一軒なんだって。
 坂本龍馬の妻、おりょうが働いていたこともあるんだとか。
 この辺りは台町(だいまち)という地名だけど、当時からの名前なんだ、フーン。

 ところで、この料亭があるところは現在海まで500メートルほど。
 浮世絵ではすぐ後ろに海が広がっているけど?

 その謎は、料亭の「裏」に隠されていた。

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 料亭の横は、急傾斜の階段。
 横浜駅がある下の低地との比高は十メートルちょっと。
 下から見上げると、かなりの高さを感じる。

 つまり、江戸時代はここが海岸、崖っぷちだったってこと。

 ブラタモリでは、「料亭の窓から釣り糸を垂らした」という話があったが、それくらい急崖だったらしい。

 階段の下で、海ぎわの崖に打ち寄せる波を想像してみる・・・ざぶーん!!

 しかし、もっと驚くのは、浮世絵が描かれてわずか40年後に、「横浜駅」が開業していること。
 浮世絵の船のあるとこ、浅そうに見えないよ?
 そこに線路を通して駅ができてるって・・・技術ってスゴイ。


 階段を降りた先の大きい道は、今の国道一号線。
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 東京から30キロか。
 昔の人はここを一日かけて歩いてきたのね。
 箱根駅伝なら第二走者、大手町から一時間半弱ってとこか?

 国道一号線を反町の方へ戻ると、さっきとは別の緑道に出る。
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 こちらは「滝の川せせらぎ緑道」。
 川の跡を親水公園に整備したようだ。
 元々の川は暗渠になっているのかな?
 さきほどのフラワー緑道よりも幅が狭いが、曲がりくねっているためそれなりに楽しい道だ。

 しばらく歩くと二枚目の写真の場所に合流し、緑道終了。

 観光客向けとは違う、のどかな横浜散歩ができた。


☆おまけ☆

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 料亭田中家の下隣のマンション。
 「クリフ台町」って・・・崖かよ!みたいな。
 シルベスター・スタローンが好んで住みそう。