キラキラとしんみり



 仙台に来て初めて、三陸方面に出かけた。

 三陸地方は宮城と岩手の太平洋側を指す名称で、岬と湾が入り組んだリアス式海岸の続く景勝地である。
 平成の大合併で「南三陸町」が出来たため、用語としては使いにくくなったが、気仙沼以南を概ね南三陸という。

 仙台から石巻をかすめて、志津川湾へ向かう。
 この道は内陸と太平洋を結ぶ東浜街道というおそらく古くからの道で、国道と並行するように、震災で被災した気仙沼線がBRTとして運航している。

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 駅舎はできてからさほど経ってない感じ。
 かつて線路だったところはアスファルトが敷かれ、ガードレールに囲まれた細い道となっている。
 車体は普通のバスらしいが、残念ながら走っているところは見られなかった。
 踏切だったところは、車道側ではなくBRT側に遮断機がついている!これは普通の車が専用軌道に入らないようにするためなのだろうが、ちょっと驚いた。
 一部区間は去年の台風19号でまたまた被災したらしい。
 自然条件の厳しい土地だ。


 本日の目的その1:
 志津川湾は、ラムサール条約に登録された「水鳥の生育地として国際的に重要な湿地」なのだとか。
 なので、鳥さん見物!

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 湾の南から北を望む。向かって左奥が南三陸町志津川市街。
 湾にはいけすが数多く浮かび、多くの水鳥がぷかぷか浮かびながらエサを食べている。

 今回の目玉はこちら ⇩
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 コクガン。
 頭が黒く、のどの部分にネックレスのような白線がある。
 お腹からお尻が白くてカワイイ。
 コンデジ手持ちなので写真ボケボケだけど・・・。

 この鳥は越冬のために北から渡ってくるが、絶滅危惧種であるため個体数が少なく、バードウォッチャーに人気らしい。
 シベリアとかから飛んでくるので当然北海道経由のはずだが、今回初めて見た。

 黒猫の話では、珍しい鳥は「撮影場所」をはっきりさせてはいけないらしい。
 というのも、いる場所が公開されるや、あのすんごいカメラやスコープを持った人たちが、わんさと押し寄せるからなんだとか。
 高山植物が盗掘されるのと同じ原理なのだろう。
 人間とはどうしようもない生き物だ。


 湾に沿って、北に移動。
 旧志津川町の北にあるのが、ウタツギョリュウで有名な旧歌津町(どちらも今は南三陸町)。
 ここの復興商店街「ハマーレ歌津」が次の目的地。
 
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 本日の目的その2:
 ここには写真を撮りに来た。

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 ラプラスのマンホール
 これが当初の目的ではなかったけれど、行き掛けの駄賃て感じで!

 ラプラスものはこの冬の宮城県のウリなはずだけど、マンホールを見に来たような人は他におらず、駐車場も閑散としている。
 さすがに一月の三陸は観光客も来ないか。



 来た道を少し戻って、旧志津川町市街地。
 こちらの復興商店街は、「南三陸さんさん商店街」。
 さっきの歌津町の四倍くらいの規模で、駐車場もほぼ満車。

 そして!
 本日の目的その3:
 その3っていうか、志津川に来たのはこのため!
 南三陸キラキラ丼
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 季節ごとに旬の食材が食べられる、この商店街の目玉。
 今の時期はイクラ丼。

 お店によってレイアウトやトッピングが違うが、数件のお店が同じ名前で提供している。
 いちばん「映え~」しそうなお店をチョイス。
 みんな考えることが同じなのか、11時過ぎですでに行列。

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 やったー、イクラてんこ盛り。
 付け合わせの鮭竜田揚げも美味しい。

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 黒猫のほうは、さんこめし。
 はらこ飯、穴子飯、たこ飯の3つの「こ」でさんこなんだとか。
 炊き込んである分、キラキラ丼よりこちらのほうが味わい深い。


 帰りは三陸自動車道で一直線。
 志津川は仙台よりガソリンが10円近く安く、これも復興の一助になればと満タンにしてきた。
 雪がないので遠出もラクちんだが、こういう化石燃料を消費するライフスタイルももうすぐ終わるのかな、とイラン情勢やグレタさんを見ていて思った。



 ♢  ♢  ♢ 

 誰もが知っているように、この町は津波で甚大な被害を受けた。
 復興商店街と川を挟んで、あの建物が今も静かに佇む。

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 被災した防災庁舎の裏手には、津波避難用の小山が造成中だ。
 かつての写真と比べると、この看板のある商店街の地盤がかなり高いことがわかる。
 低地全体にかなりの厚さで盛土したのだろう。

 川の護岸もこれでもかというくらい高く、そのやけに白々しい色合いが棺を思わせて心がキュッとなる。
 私たちは人間の浅知恵では自然に決して勝てないことを知ったのに、それでもやはりより高い堤防を求めてしまうのだろう。

 沿岸はなべて無人で、工作機械だけがオリンピックの工事現場並みに林立していた。
 ここにあるのは、東京とは真逆な世界だけれども。


 恐ろしい海は、同時に生活の糧を与えてくれる恵みの海でもある。
 海鳥が戻ってきたように、50年もたてば、人もまた海岸に戻るだろう。
 いずれ津波はやって来るが、海と離れては暮らせない。
 それが三陸の歴史だ。


 ♢  ♢  ♢ 
 

 三陸に行ったのは、かれこれ二十数年ぶりだった。
 以前仕事で女川や志津川、気仙沼にも行ったが、そこに住んでいた人々が震災でどうなったか怖すぎて考えたくもないし、その場所を見たいとも思わなかった。

 かつて住んでいた土地、かつて訪れた場所が被災地になった時、私はそこに居なかったという、居心地の悪さのようなものも感じた。
 うまく逃げたな、というような(考えすぎだけど)。

 私が心を痛めても、被災地あるいは被災者には何の役にも立たない。
 かといってボランティアに通うような体力も根性もなく、せいぜいちまちま募金をするくらいだ。
 復興という言葉も、じつはあまり好きでなはい。
 いちど失われたものは、そっくりそのまま元に戻ることなどないからだ。
 それでも、多くを失い傷ついた人々の心が、少しずつでも癒えていってくれたらいいなと思う。




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