出羽三山~月山・湯殿山
絶好の行楽日和。
仙台から高速道路で西へ向かう。
寒河江市街地を過ぎて山に入っていくと、前方に見えてくるのが、出羽三山の主峰・月山(がっさん)。

大きな山体、のっぺりしたピークが特徴の月山は、遠くからでもそれとわかる。
春に蔵王の方から見たのがコレ ⇩

本日向かっているのは、月山の南西に位置する湯殿山。
と言っても山登りじゃなくて、目的地は山麓に位置する湯殿山神社。
寒河江ダムの横を通り、月山道路(高規格道路、山形道の続き)をしばらく走ってから下道に降り、さらに湯殿山有料道路を2キロほど上り詰めると、鳥居を擁する駐車場に到着する。

巨大な鳥居の扁額は「湯殿山本宮」。
あたりはパワースポット感満載だ。
いや、実はパワースポットとかいう表現は日本古来の自然観とはちょっと違う気がして、あまり好きじゃないんだけどね。
でもまあ非日常の、ここのようにあっけらかんとした神々しさには、悪くない語感であるようだ。
鳥居から、緩やかな舗装道路を1キロほど歩く。
あたりは紅葉真っ盛り。
正面には月山とおぼしきピークも見える。

※帰宅してから地形図で確認したところによると、見えているのは月山山頂から西南西に延びる主稜線上にある、1800メートル強のピーク。
月山(1984メートル)の山頂はこれのさらに1キロ以上奥にあるらしい。
息を切らしながら坂を上り詰め、本宮の境内前到着。

兵舎のような社務所と、売店などが並ぶ。
ちなみにここまでは下の駐車場からバスがあり、お年寄りでも問題なく来ることができる。
階段が、本宮入り口。
存在感のある「御神牛」がどーんと鎮座しているが、その手前には何やら注意事項がずらずらと書き連ねてある。

事前のリサーチによれば、湯殿山で見たり聞いたりしたことは誰にも話してはいけないとかで、これは古くからの信者にはかたく守られている決まりであるらしい。
本宮内は写真撮影禁止とも書いてあるため、ここからは写真なし。

境内のイメージ図。
左の牛の絵の所から、少し登って川に降り、橋を渡ると御祓所。
御祓所前までは月山への登山道でもあるため、大きなリュックの登山客もちらほら見かける。
木製ベンチがたくさん並んでいるので、そこで靴を脱いで裸足になる。
「はいっ?」って感じでしょ。
つまり、ご神体にお参りするためには、タイツやストッキングで来てはいけないわけ。
もちろん、事前にリサーチしてきたので、靴下と膝までまくれるボトムで準備万端。
御祓所で祈祷料を払うと、紙の人型とお札を渡される。
人型は手のひらにすっぽり入るほどの大きさで、それで体をぬぐって邪気を人型に移し、横の池に流す。
それが終わると、神主さんが大幣を振りながら祝詞を唱えてくれる。
結婚式は神前じゃなかったので、こういうの初めてかも。
この先でいよいよご神体とご対面・・・なのだが、そこは「語ってはいけない」らしいので ひ み つ

全国数々の神社にお参りしてきたが、ここは稀有な体験というカテゴリーではトップクラスと思う。
東北では出羽三山信仰は根強く、伊勢参りのように参詣者が集まっていたらしいが、特に信心深くない人々は、神聖な気分でお参りしつつも、アトラクション的な楽しみ方をしていたのではないだろうか。
私たちの前にいた年配の家族連れは、何か宿願があるのだろう、自分たちで願文を読み上げ、しっかりお参りしていた。
そういう人々を見ると、人類が「宗教」というものを必要とした意味が少しわかる気がする。
私は今のところ、どれかの宗教に帰依しようとは思わないけど。
ほんの少しだけ自分から「穢れ」が落ちたような気分で、湯殿山を後にした。
☆おまけ☆
湯殿山、名前の通り、山麓からは温泉が湧き出ている。
本宮への車道沿いの沢水(冷たい)も、温泉成分が入っていそうな感じの色。


本宮入り口から望む、朝日連峰と新潟県境の山々。
山なみの重なり具合がいい感じ。

最後にもう一度月山を振り返る。
眺望がよさそうで、一度登ってみたい山かな。