宮城県美術館



 12月。
 それなりに寒いが、仙台はこの時期まだ雪もなく、風のない日は絶好の散歩日和。

 広瀬川のほとりにある、宮城県美術館に行く。

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 この美術館は昭和56年開館。
 見た目、ちょっとくたびれた感じ。
 実は去年引っ越してきた頃から、「美術館移転」がちょっとした話題となっていた。

 昨今の‟箱モノ維持管理難”から仙台市内に散らばる公共施設を郊外に集約したい県と、「建物や環境を含めて美術館である」という市民団体が衝突し、移転するしないでモメていた。
 結局、最近になって、現地での建て替えor改修のどちらかということで決着したようだ。

 行ってみてわかったが、美術館があるのは広瀬川の崖に面した段丘上で、まわりに視界を邪魔するような建築物もなく、高低差を生かした庭園配置など、それなりに工夫を凝らした建物となっている。
 移転予定地はJRの貨物線と病院、大きな道路にはさまれた何のヘンテツもない低地の一角で、そりゃ反対派の言うことも一理あるわ、と思ったのであった。


 脱線はこのくらいにして。


 本日の展覧会はこちら ⇩
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 奈良にある、中宮寺の国宝展。
 写真は国宝「菩薩半跏像(ぼさつはんかぞう)」。
 京都は広隆寺の「弥勒菩薩半跏像」と並び称される、半跏思惟像の傑作だ。
 どちらも素敵だけど、比べると広隆寺の方は男性的、中宮寺のは女性的に見える。

 中宮寺は聖徳太子ゆかりのお寺なので、太子像などもたくさんあるが、目玉はこの菩薩半跏像と「天寿国曼荼羅繍帳(てんじゅこくまんだらしゅうちょう)」の二つ。

 繍帳は若くして太子に死に別れた妃、橘大郎女(たちばなのおおいらつめ、推古天皇の孫)が、太子が住んでいるだろう天寿国のありさまを刺繍したもの。彼女の太子に対する優しい思慕が伝わってくる。
 出展されていたのは模造品(寺で展示しているもの)で、本物は奈良の国立博物館にあるようだ。

 色々な寺宝を見た後、小さめの暗い部屋で6分ほどのビデオを見る。
 こういうのは前フリのナレーションが長すぎたり映像がつまらなかったりして大抵飛ばしてしまうのだが、半跏像の見どころをピンポイントでコンパクトにまとめてあり、中々いいビデオだった。

 予備知識を仕入れた後で、期待を胸にとなりの明るいホールに行くと・・・

 ひゃー・・・
 (↑ちょっと声が出ない)

 円形のホールの中央に、これも円形の台に乗った弥勒半跏像が!(撮影禁止のため写真なし)


 中宮寺は20年ほど前に行ったことがあり、もちろんこの像も本堂で拝んだ。
 ただお寺の本堂というのは総じて暗いし、後姿は見ることができない。

 それが、仏像360度~!

 元々優しい顔立ちの像だが、それがクリーム色の優しい明りに照らし出されて、得も言われぬ優美な雰囲気を醸し出している。

 仏像は本来お寺で拝むものとは思っているものの、ひとつの美術品として捉えれば、こうして至近距離であらゆる角度から見られるというのは嬉しいことだ。
 


 この美術館には佐藤忠良記念館という別館もあり、そっちも観覧。
 建物がぐっと新しく、ガラスや大理石の使い方にはバブリーな香りが・・・と思ったら、やっぱり平成2年開館だった(笑)

 彫刻の良し悪しはさっぱりわからないので、大体「好き・好みじゃない」で判別しているのだが、この人は「好き」な方。
 展示は概ね制作順で、5つの展示室に大量の彫刻が置かれ、教科書で見た名作もある。

 同じモデルと思われる女性の半裸像が数点あるが、若い頃と晩年では、造形に違いがある。
 若い頃の作品は内側からはじけるような肉感があるが、晩年の作では造形よりも内面を表現したがっている、というような。
 こうして見比べるのも面白いなと思った。


 他の都市にある美術館と比べ、よそ者がわざわざ訪れたいと思うような特色のある美術館ではないが、まあ、個人のコレクションから発展したわけじゃないから、こんなものだろう。

 美術館の裏手は庭園になっていて、木立を挟んで広瀬川が流れている。
 といっても川は崖の下、見えるわけではないが、街の喧騒から少し距離があって、美術館の立地としては悪くない。
 さて、どんな美術館に生まれ変わるのかな。




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