北海道 地図の中の鉄路 を読む

 副題が「JR北海道全線をゆく、各駅停車の旅」。乗りテツ向けの本か!?と思いきや、中身は国土地理院の二万五千分の一地形図満載の、地理好き本。何と写真もほとんどない。


北海道 地図の中の鉄路
亜璃西社
堀 淳一


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 道内の鉄道は、明治初期に手宮線が開通して以降、広い道内を網羅するように建設されてきた。本書の付録に1944年と1966年の道内鉄道路線図が付いているが、あらゆる谷筋に鉄道が伸びている、という感じ。

 昭和の中ごろから炭鉱鉄道が順次廃止され、昭和60年代になると、地方ローカル線は短い路線も長い路線も次々廃線となった。

 開業は昭和63年の津軽海峡線が最後。私が大学に進学した春で、受験の帰りは寝台列車→青函連絡船コース、夏休みの帰省は北斗星だった(これらもすべて今はない…隔世の感)。


 さて、本書に話を戻す。本の中身は、各路線ごとに章立てし、その路線が辿った歴史と、沿線の地形描写が主である。
 記述はその路線が全線開通した順に記載されている。一番がちょっと意外な富良野線(明治33年全通)、最後が津軽海峡線。

 こういう紀行ものは、自分の居住地をまず見てしまうものだ。私も、長く慣れ親しんだ室蘭本線から読んだ。室蘭-東室蘭間の線路が曲がりくねって窮屈そうなわけ、東室蘭-苫小牧間は海沿いに線路があるけど反対側の車窓のほうが断然景色がいいから山側に座るという筆者の話も、ウンウンと納得。

 へえー、なのはルートの変遷が詳しく記述されていること。明治の昔、鉄道を敷設するにあたって技術者たちは当然「もっとも勾配の少ない、経済的なルート」を選択したはずだ。技術的な問題もあり、トンネル、橋、切土盛土は最小限にしただろう。またせっかく作った線路が洪水やがけ崩れで流されても困るので、できるだけ条件のいい場所を選んだに違いない。

 その結果、古い鉄道ほど(道路もだけど)、土木工学的に「良い場所」に建設された。しかしそれは往々にして街と街を直線でつなぐものとはならず、あっちに曲がり、こっちに曲がりのくねくねルートとなり、また川幅の広いところは川に直角に橋を架けるのがもっとも経済的かつ設計が容易なので、直線で作れるルートもわざわざ川と直角に交差するよう曲げてあった。

 土木技術の発展と同時に、川沿いの難所はトンネルに、峠超えは新ルートの開拓でより緩勾配に、より短く…と線路の場所も変わったが、本書ではそれらの変遷が新旧の地形図で比較できるようになっている。

 先日の帯広への旅(千歳線、石勝線)も、本書を読んでから乗ったので、いつもより車窓を楽しむことができた。


 本書はごっついカバー(地図です!)の単行本なのでお値段も高いけど、地図好きか(タモリのような高低オタクも)、鉄道好きなら読む価値がある。




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